誕生秘話
2つの異なる会社、2人の創業者から受け継ぐDNA
Technology & Trust
別々に創業した2人の想いが、時代を経て一つに
特種東海製紙には、創業者が2人います。その2人は家族でも共同経営者でもなく、まったく違う時期に、別々の場所で、熱い想いを抱いて製紙会社を設立しました。
「特種東海製紙株式会社」の前身は、異なる創業者をもつ2つの会社です。1社は、1926年(大正15年)設立の特種製紙。もう1社は、1907年(明治40年)設立の東海パルプ(旧東海紙料)。
長年にわたって製紙事業に力を注いできた2つの会社が、業界環境の変化に柔軟に対応し、成長戦略をより発展的に推進するため、2007年(平成19年)に経営統合を行いました。そこからまた、新たな歴史が刻まれています。
時代も、会社の形も大きく変わりましたが、会社を創った2人の想いは今もなお変わらず受け継がれています。「Technology & Trust」という言葉と共に。
「革新的な技術で特殊紙の国産化を」:特種製紙創業者の想い
1926年、工学博士である佐伯勝太郎博士(1870-1934)が「特種製紙株式会社」を設立。佐伯博士はもともと大蔵省印刷局抄紙部長で、日本の紙幣用紙や政府所管用紙の製造責任者を務めていた人物です。
当時の日本では特殊紙を輸入に頼っていました。佐伯博士は、なんとしても、特殊紙を自分たちの手でつくりたいという熱い想いから、事業を興すに至ります。日本の製紙業界を指導育成する立場にあった博士が、一私企業を興すということは当時としても並々ならない決意があったことでしょう。その後、佐伯博士は革新的な「技術(=Technology)」をもって、特殊紙製造の道を模索していきました。そして苦労の末に、ついに特殊紙の国産化を実現したのです。その精神は製紙業界に今も受け継がれていて、紙パルプ技術協会が紙パルプに関する研究・技術開発などにおいて顕著な成果を収め紙パルプ業界に貢献したものに贈る賞の一つとして「佐伯賞」を設けています。
「最も大切なのは信頼」:東海パルプ創業者の想い
1907年、後に東海パルプとなる「東海紙料株式会社」が設立されました。創業したのは、明治を代表する実業家であった大倉喜八郎男爵(1837-1928)です。実は大倉男爵は、この設立からさかのぼること12年前の1895年、南アルプスに位置する山林 約2万5千ヘクタールを購入し、製紙業への礎を築いていたのでした。
大倉男爵は製紙業の他にも貿易、建設、製鉄、食品、ホテルなど日本の近代化を支える数多くの企業設立に携わり、あの渋沢栄一らと共に、近代日本の産業振興に尽力しました。また、商業界の人材育成を進めるため、東京経済大学の前身である大倉商業学校を設立した人物としても知られています。
「およそ何事をなすにも最も大切なのは信頼である。(中略)信頼は急に出来るものではない。毎日毎日の仕事からだんだんに出て来るもの」※ ──実業家として、一人の人間として、「信頼(=Trust)」を何よりも大事にしていた大倉男爵でした。
現在に受け継がれる2人の創業者のDNA──「Technology & Trust」
佐伯博士が特殊紙の国産化を実現させた「技術(=Technology)」と、大倉男爵が大切にした「信頼(=Trust)」。
私たちがロゴマークや製品名にも使用している「TT」は、2人の創業者の想いが重なった「Technology & Trust」の頭文字です。
この「TT」が私たちのDNAであることを誇りに、特殊紙メーカーとして紙の可能性を追究し高品質な製品をお届けする「技術と信頼」によって、お客様と共に未来をひらくオンリーワンビジネス企業を目指してまいります。
※出典元:存命中最後の講演。大倉高等商業学校にて(1928年)/当社コーポレートサイト 沿革より