意匠
紙素材で高級感やオリジナリティを演出する技術とは?
「オン」と「オフ」
既出のナレッジ『パッケージに彩りを添える「ファンシーペーパー」。紙に意匠性を付与する、高度な技術とこだわりとは?』の記事の中でも紙に意匠を付与する技術として「エンボス加工」についてご紹介していますが、その「エンボス加工」には実は紙を抄く工程の中で意匠を付与する「オンマシン」方式と、出来上がった紙に後から別工程で付与する「オフマシン」方式(「オフエンボス」とも言います)があります。
前回は紙への着色技術とセットでの「オンマシン」方式でのエンボス加工の説明をしましたので、今回は「オフマシン」方式について取り上げます。
紙に凹凸をつける技術
紙素材における「エンボス加工」とは、「オン」「オフ」問わず金属などの凹凸のロールや版等を用いて紙に意匠やテクスチャーを付与する技術で、特徴的な触感やそれに伴う視覚的な効果などから上質な雰囲気を醸し出すのに一役買っています。
「オンマシン」方式は、例えば当社のレザック66のようにもともと意匠が付与された紙素材として製造されているものです。仕込んだ製紙原料を全て使用することになるため、製造ロットとしては相応の量が必要になります。ただし紙を抄く工程のインラインでエンボスを付与することから1つの工程の中で完結します。
「オフマシン」方式は、主には原紙への後加工の一種であり使用する原紙を選定するため、紙を原料から作るより少ない量でエンボス加工ができるメリットはありますが、紙を作る工程とエンボスを押す工程が別で2つの工程を通ることになります。
また使用する設備によってROLL to ROLL、ROLL to SHEET、SHEET to SHEETなど紙素材の原紙形態や加工可能な紙の厚みや付与するエンボスの深さ、面積などが変わってきますが、いずれにしてもエンボスを付与するためのロールや版が必要であり、新たな意匠のエンボス加工をする場合はその初期費用や製作期間が掛かることになります。
当社では「オンマシン」方式以外にもデザイン性の高い意匠を付与した紙素材を提供できるように、この「オフマシン」方式のエンボス技術も活用しています。
美しく、立体的にきらめく技術
例えばTT-SPARKLEに採用している「D-motion」はアルミ蒸着紙のような光沢紙にマイクロエンボスという超微細なエンボス加工を施すことによって、パターンが揺れて動いて見える効果を付与した紙素材(MATERIAL)を提供しています。
オリジナリティの高い意匠でブランドプロテクト
もちろん光沢紙ではない通常の紙への通常の「オフマシン」方式のエンボス加工もでき、「オンマシン」方式のエンボスロールを作るよりも初期費用や製作期間が低減できるといったメリットもあることから、例えば企業やブランドのロゴマークといったオリジナリティの高い意匠を紙に付与することが可能で、これは技術的に模倣されにくくなるという点でブランドプロテクトにも繋がるとも言われています。
それぞれの特長を生かして差別化
今回ご紹介しましたように、製紙業界におけるエンボス加工技術には「オンマシン」方式と「オフマシン」方式でそれぞれ特長がありますので、このような技術を活用した紙素材でブランド価値を高めたり差別化を図ってみてはいかがでしょうか?